金
07
1月
2011
「廃屋」茨木のり子
人が
棲まなくなると
家は
たちまち蚕食される
何者かの手によって
待ってました!とばかりに
つるばらは伸び放題
樹々はふてくされて いやらしく繁茂
ふしぎなことに柱さえ はや投げの表情だ
頑丈そうにみえた木戸 ひきちぎられ
あっというまに草ぼうぼう 温気にむれ
魑魅魍魎をひきつれて
何者かの手荒く占拠する気配
戸さえなく
吹きさらしの
囲炉裏のありかのみ それを知られる
山中の廃居
ゆくりなく ゆきあたり 寒気だつ
波の底にかつての関所跡を見てしまったときのように
人が
家に
棲む
それは絶えず何者かと
果敢に闘っていることかもしれぬ
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これは詩人茨木のり子さんの詩集「自分の感受性くらい」に掲載されていた「廃屋」という詩です。
確かに家は人が住まなくなると一気にさびれていきます。
新しい家でも、それは同じ。
人間の勝手によって地球の環境が壊されていく悲しい時代の中で、人が暮らすことによって家が保たれていくのですね。
なんだか嬉しい。


